1個より5個、飽き性が繋ぐきっかけの展開
中村颯介さん
member敬称略
- 中村(TAMコミュニケーションプランナー・PM)ゲスト
- 灰谷(TAMエンジニア)ファシリテーター
- 伊波(TAMエンジニア)
- 角川(TAMエンジニア)
株式会社TAM TAMTOチームの中村颯介さん。コミュニケーションプランナー・PMとして新しい風をはこぶ活躍と、気さくな人柄が印象的な方です。
今回のインタビューは、ネットを飛び出しおでん屋さんに集結した初のオンサイト開催。セレンディピティを大事にその場のノリで2時間がっつり語り明かしました。
member敬称略
- 中村(TAMコミュニケーションプランナー・PM)ゲスト
- 灰谷(TAMエンジニア)ファシリテーター
- 伊波(TAMエンジニア)
- 角川(TAMエンジニア)
モノづくりの心を磨くアドバイス——なんでも引受けてみよう
注文がひと段落したころ、灰谷さんがスマホにお題のホワイトボードを映しました。
- 中村
- これはどうしたらいいですか?質問してもらえるんですか?
- 灰谷
- まず……事前アンケートだったら、なんか迷走していこうじゃん!ってやつでしたね。
- 中村
- はい、はい。笑
- 灰谷
- そうですね、うかがってた「周りからどう見られてるかちょっと気になってるんです」があったんで、そのテーマからいってみましょう。
- 中村
- はい。
- 灰谷
- 以前、プロジェクトで一緒だった方にうかがったんですが、中村さんはいろんな方の話をきいてくれていて、イラッとしたそうなシチュエーションでもポジティブに回してくれているところが凄くありがたいそうですよ。
- 中村
- ありがとうございます。はい、はい。
- 灰谷
- 事前にうかがってた「モノづくりの心を磨くアドバイス」で「なんでも引受けてみよう」っていうマインドを教えてくださったじゃないですか。
僕の場合、「逃避したい!(今やっていることがめんどくさい、なんか楽しいことしたい)」が一番のモノづくりのモチベーションになっているので、その力を磨くためには「とにかく相談とかお願いを断らずに抱え込む」ことかもしれませんw (半分冗談半分本当)
- 灰谷
- それも含めて、みんながいい人の前提で、いっぱい引き受けてしんどくなったりしないのかな、とか。
- 中村
- なるほど。はい。それで言うと、「人に優しくする方が自分に優しくなれる」んで。
灰谷:ああー……!いいですね。
性善説は技術
- 中村
- 人が人を嫌ってる状態がしんどいんですよね。だから、相手のためとかより自分のヘルシーさのために「いい関係でいる」とか、「いいところを見る」とかしてると思います。
- 灰谷
- ああ。
- 伊波
- それは、意地悪的に聞いちゃうと、「どんなクソ野郎」でも?
- 中村
- え?どんなクソ野郎でも……(考える)
- 伊波
- 相手が、こちらから協力できるところが1つもない相手でも良いところを見ようとします?
ここで中村さんは、ディスカッションで否定的な評価を受けたエピソードを話しました。
- 中村
- そのときは感じたことを伝えたかったけど、言わなかったんです。でも、(立場をつかって言い分を雑に被せられたように感じて)腹が立ちました。 笑
- 伊波
- ははは。笑
- 中村
- そういう相手は(心の距離を遠くに置いてて)僕の世界にいないんで、いい関係でいようとしなくても平穏にいられる。
- 伊波
- なるほどね。
- 中村
- もう、近くにいる人ほど「クソ野郎」と思っちゃうと自分がしんどいじゃないですか?だから、よく言うと、相手に対しても肯定感あると思うんですけど、悪く言うと線引きしちゃってる。
- 伊波
- 境界をハッキリさせている?
- 中村
- と思います。だから逆に、本当は思ってることを言ってぶつかった方がいい場面で言えないことはあるかもしれない。
- 伊波
- あんまり衝突は好きじゃないです?
- 中村
- 好きじゃない……ですね。
- 伊波
- それは、「いいもの作る」みたいな目的だとしても好きじゃない?
- 中村
- 好きじゃないです……でも、建設的な議論は必要だと思ってて、それはテクニックだと。本音を言うのって勇気じゃなく、「ぶつからなくてもぶつかれる方法」は「良い言い方」でできる。だから、そっち側を気にしてる感じですね。
- 角川
- うーん…!
- 伊波
- あー…なるほど。いわゆる、ちゃんと本質を喋れるかどうかに近い?
- 中村
- はい。だから、人に優しくするためにどう捉えるかもテクニックだし、本音をぶつけるのもテクニックだと思います。
- 灰谷
- うんうん。
- 中村
- だから性善説って精神的な話よりは、割と技術的なものとして捉えてるんです。
- 角川
- へー…!
- 伊波
- じゃあちょっとエンジニアなんですね。
- 中村
- そうすか? 笑
- 灰谷
- はい。
- 伊波
- なんかそんな雰囲気はしてました。
- 角川
- うん。
- 灰谷
- エンジニアって、境界テストとか切り分けテストを普段からするから、反復練習で物事の境界線に対して敏感になるんですよ。あと、「なんでか分からないけど動かない」とはいかないから、エンジニアをやってたら無意識に内側の構造について自分で責任を持ちたがるんです。
- 中村
- うん。
- 灰谷
- 距離を置きたい相手と境界を引いたり、ぶつかり方を技術として分析していたら、そういう習慣に引っ張られてエンジニアっぽくなるんじゃないかなあ。
- 中村
- そう言われれば、そんな気がしてきました。
- 灰谷
- なんか、このやりとり、宗教のかほりがしますね…! 笑
- 中村
- あははははは。笑
- 伊波
- なんか僕の印象では、中村さんは「THEポジティブ」です。ネガティブな中村さんは見たことがないです。
- 中村
- あー……
- 伊波
- なんか意識してます?
- 中村
- 意識……ホワイトボードにあるお題の付箋にも「闇堕ち」とか書いてましたね。どうすかね?
- 伊波
- ダークサイドに行くことないですかね?
- 中村
- 昔はありましたけど。
- 伊波
- ありました?
- 中村
- 最近はないです。闇落ちっぽいのは20代の前半とかはありましたね。TAMでは5年目になるんですが、みんな優しいし褒めてくれるし、今のところなんかルンルンでいられてるんです。
- 伊波
- TAMへの疑問は一切なし?
- 中村
- 疑問ですか?こうしたらいいんじゃないかな、みたいなのはありますけど、それはネガティブとはちがいますね……TAMにずっといる人って、TAMが好きだからというよりは制限されないことが心地いいんじゃないかと思います。
- 伊波
- はい。
- 中村
- 好きというよりかは、守ってくれるけど、それ以外は野放しにしてくれるからここにいられるっていう。
- 灰谷
- 野放しっていい言葉ですね。
こっちをやってる時がこっちの休憩
話題は、仕事のスタイルへ。中村さんは、受託の仕事が好きなのだそうです。
- 伊波
- なんで受託が好きなんです?
- 中村
- 飽き性だから。
- 角川
- あー……!
- 伊波
- 中村さんは事業会社とか考えたことないんですか?
- 中村
- いや、今は考ていないです。
- 伊波
- もう常に新しいことしてたいとか?
- 中村
- うん。多分飽きると思う。受託が合ってるってことだ。
- 灰谷
- いや、違うことしたくなる気持ちは分かる気がする。
- 中村
- フリーター時代あったんすけど、バイトを4個か5個ぐらい掛け持ってて。1個やってるより、5個やってるほうが楽なんですよ。
- 角川
- えー……!
- 伊波
- どういうことですか?シフト組まないといけないですよね、面倒くさくないですか?
- 中村
- まあそうですね。例えば、親がサッカークラブやってたんで、夜はフットサル教室のサポート、その前は子供たちにサッカー教えるとか。で、土日とかは結婚式場のバイトするとかってもうある程度決まってたんで。
- 伊波
- あ、もうルーティーンだった。
- 中村
- はい、そこの組み替えとかでは詰まってなくて。「こっちをやってる時がこっちの休憩」になって、その反対もあるみたいな。
- 伊波
- あー!さっきの飽きるっていう感じ。ずっと同じことしてると嫌だから曜日ごとに違うバイトの方がいいんだ。
- 中村
- そうですね。そっちのが常にフレッシュでいられる感じがします。
- 角川
- あー……!
- 灰谷
- 左利きのエレン的な集中力の分類でいくと、「浅くて乗り換える」タイプですよね。
- 中村
- あ、そうですね。
- 角川
- 乗り換えは、ぜんぜん違う業界やジャンルでも良いってことなんですか?
- 中村
- はい。
- 角川
- ほー
- 中村
- 事業会社が好きっていう人、色々タイプがいると思うんですけど、うちの奥さんとかは結構ビジョンに共感できるのが大事なんですよね。その会社がどういうビジョンを掲げてて、そのためだったら働ける、みたいな。
- 伊波
- 僕はそっち派です。
- 中村
- あ、ホントですか?
- 灰谷
- モチベーションタイプを4つに分類したあれの、「アントレプレナー」ってやつですよね。
- 中村
- ああ、かもしれないですね。
- 中村
- 僕はそうでもあんまりなくて、「過程志向」なんで、たどり着く未来よりその過程が大事なんで。
- 伊波
- ゴールじゃなくて?
- 灰谷
- クラフトマンなほうですよね。
- 中村
- はい、ふふふ。笑
- 中村
- まあ、だから、TAMにはまってるのもその辺が合うのかな?
- 灰谷
- 確かにね。
- 中村
- 新聞部とかPlaygroundとか、大体クライアントワークに疲れたらなんか他のことしたくなります。
- 伊波
- 今は何が一番楽しいんですか?
- 中村
- いまですか?直近もらってる仕事、全部楽しいです!
- 灰谷
- 乗り換えてるから、全部が相対的に楽しくなくなるんじゃないですか?
- 中村
- そう…ですね。こっちのプロジェクトがうまくいかないとか怒られたりとかあっても、こっちでなんかうまくいってるみたいなこと結構あるんですよ。
- 伊波
- あー…!分かります。それこそ色々やっておくのが処世術とかありますね。1個に集中してるとダメだった時にリスクヘッジできないですね。
- 灰谷
- ああ、だから、断らないんだ!
- 中村
- はい。はい。
乗れる問いを選ぶ
- 伊波
- 結構、じゃあ合理主義なんですね。
- 中村
- うん、かもしれないですねえ。
- 伊波
- しんどいタスクあります?たとえば資料作りとか?
- 中村
- まあ資料作りはしんどいですね。笑
- 伊波
- 考えてる方が楽しいですか?
- 中村
- 考えてる方が楽しいです。でも場合によりますね。常にやってるのは「いま何考えよっかな」って考えるんですよ。
- 角川
- ふーん。
- 中村
- そのプロジェクト疲れてるって感じたときは、1番自分のパフォーマンスがでる問いは何かを探します……
- 伊波
- それは、優先度じゃなくて、「自分が何をやりたいか」で決めてるんですか?
- 中村
- そこはコストパフォーマンスを基準に考えているんです。今自分が乗れる「問い」が1番パフォーマンスが高いじゃないですか。
- 角川
- うん。
- 中村
- だからそれを「ガっ」てやれれば短時間で進捗が積み上がる可能性があると思っています。
- 灰谷
- うんうん。
- 中村
- だから、2つ優先順位の決め方があって、「そのプロジェクトとして優先順位が高い」っていう軸と、「自分が乗れるか」っていう軸があって、両方見ていいのを選ぶ。
- 伊波・角川・灰谷
- ほおー……!
- 灰谷
- 視野が狭窄しちゃったら、プロジェクトだけを見て自分が無理しちゃう方向に倒れますもんね。自分が乗れるかの視点、広くていいですね。
- 伊波
- なかなかエロいっすね。
- 一同
- 爆笑
- 中村
- けど、そうじゃないすか?
- 伊波
- うん、まあ分かります。
やれるのは分かってるから、それ以外のところに今は使う。
- 中村
- エンジニアさんも、パフォーマンスがでるところを見極めて取り掛かる感じじゃないですか?
- 伊波
- ただ、優先度はハッキリしてたりするんで。やりたくないことでもやらないといけないときは、あります。
- 角川
- うん。うん。
- 灰谷
- いやあ、私はやりたくないことは締め切りの一日前まで放置します。ギリギリになって5倍のパフォーマンスで仕上げる。
- 角川
- ああー……
- 中村
- あ!それ、それ!今日も提案あったんすけど、提案書作りきるのは面倒くさいんです。けど残り3時間になったらどうせやるんすよ。
- 灰谷
- うん!
- 中村
- そん時の火力が1番強いこと分かってるんで、そこに「取っておく」んですよ。締切が近づけばやれるのは分かってるから、それを信じて別の問いを進める……みたいな感じですよね。
- 灰谷
- なります!なります!締め切り直前の自分の爆発力にはなぜか絶大な信頼があります。笑
- 伊波
- なるほど。
- 中村
- そういう人、結構いるんじゃないですか?
- 灰谷
- どうなんだろう?私は頻繁に言ってます。「締め切り直前の自分を信じているので、今日は本気だしません」って。
- 角川
- ……そうですね。実際それで間に合ってるので。ふふ、信憑性っていうか。笑
- 灰谷
- あはは!笑
きっかけを作って繋ぐ
- 伊波
- 例えば、中村さんのPlayground(作りたいプレイヤーが先に作って発信していくコンセプトの会)には自分のイメージする着地点は持ってないです?
- 中村
- はい。
- 伊波
- みんなが自分のイメージしていた着地点に向かわなくてコントロールできない状態だったら、イライラします?ワクワクします?
- 中村
- 全然イライラしないです。ワクワクというか、「モノづくりの心を磨くアドバイス」にもあったんですが、何かを作る時ってコントロールしたくて作っているわけじゃなく、むしろ逆で、それが何かに「繋がればいい」なと思ってるんですよ。
- 角川
- うん。
- 中村
- 新聞作った時も新聞を読んでほしいとは思ってなくて、作ったらどうなるかな?って気持ちでしか作ってないんで。
- 灰谷
- あー、なるほどなるほど。どうなるかな?は、繋げたわけですね。
- 中村
- 本当に、4コマしか読まれてなくてもいいし、トイレに貼られててもトイレなんか貼るなよとは全く思わない。「これぐらいの感じで作ってたらトイレとかに貼るんだ〜」とか。
- 角川
- うん。
- 中村
- プロトタイピングが好きなのもそれで、どこに行くかわかんないけど、それがあることで次のコミュニケーションが取れるじゃないですか?
- 伊波
- その先の自分の理想は?
- 中村
- ないっす。仮説はありますけど、そうならなくてもいいんですよ。
- 灰谷
- 結局、見届ける前に次のことにシフトするのかな。0→1でパスしちゃうんですよね。1→100は任せたっていう。巻き込んだ仲間を信用してるから。
- 中村
- 多分、はい。
- 伊波
- うん。まあそれはそうだ。
- 中村
- だからなんか、何かを成し遂げるタイプではないぞと。
- 伊波
- 理想はあります?こういう自分になりたいっていう。
- 中村
- こういう自分になりたい?……こういう自分になりたい…(考える)
- 灰谷
- 私もうこういう自分になりたいっていうのはあんまりないですよ。以前コーチングでアドバイスしてもらったんですけど「山登りタイプ」と「川下りタイプ」という例えがありました。山登りは目標を立てて向かうやりかたで、川下りはラフティングみたく色んなものがダーっと来るけどそれを楽しんで結局超えるってやつ。
- 中村
- そう!川下りかも。
- 伊波
- あー!だから過程がいい。
- 中村
- はい。例えば、お題のホワイトボードに「だるま食堂」って付箋がありましたけど、本当にだるま食堂を自分がやりたいわけではなくって。
だるま食堂は、かつておじいさんが切り盛りされていた食堂の看板をつかって1日限定で開くお店です。中村さんが店長になって定番メニューを復刻し、知人友人を招いて語らう場になっています。
- 中村
- だるま食堂っていう目標を置いたら、じいちゃんばあちゃんと話す機会をつくれるんですよ。
- 灰谷
- あー…!きっかけってことですね。
- 中村
- そのきっかけを作るために目標設定した。1日だるま食堂をすることによって関われる人って生まれるじゃないですか?
- 角川
- うん。
背中を見せる
- 伊波
- 要は、今って自分でやりたいことをやってるじゃないですか。年齢が上がってくると周囲から「もっとこうなってほしい」と投影する人がでてきますよね?経験を積んでくるとそういうステージに上がってくるわけです。
- 中村
- 投影?
- 伊波
- 投影されている自分がどうなるべき、とか、イメージあります?
- 中村
- 意識はしてますね。例えば分かりやすいので言うと、個人目標(ビジネスの粗利達成目標)じゃないですか?僕は毎年達成してるんです。自分が自由になるために達成しなきゃいけないから達成してるし、逆に言うと、自由にやってるから達成できて、さっきの話と同じで自分のバイブスが上がるやつが1番パフォーマンスが出るんですよ。
- 灰谷
- うん。
- 中村
- だからそこ(つまりバイブスが上がるジャンル)にBETしてて、結果、成果が出ている。
- 伊波
- それは自分の世界だから。でも、他人がいるんですよ。他人から見られてるでしょ?
- 中村
- 他人から見られてもいる……?
- 伊波
- 後輩からどう見られているか、それが組織の成長にとって重要なんです。
- 中村
- なるほど、考えたことなかった。
- 灰谷
- 私も……中村さんと同じで、自分の世界でやりたいことをやる姿が、若い人からどう見られてるかは考えないほうですね……自分で挑戦したい開発をして、個人活動も影響や導きなんて全く考えずに自分のためにやるし……
- 中村
- そう、わかります!
サッカー論で語る、引き上げる育て方。
- 中村
- 僕、サッカーのコーチをしたって言ったじゃないですか。教えようとすると育たないんすよ。
- 灰谷
- へえー……!
- 角川
- ふーん……!
- 伊波
- いや、それ面白い!
- 中村
- 背中を見せるのが1番育つっていうか。日本のサッカークラブってボトムアップ型なんです。例えば小学生のチームでみんなを上手くしようとするとき、一番できない子にトレーニングをする。
- 伊波
- ああ。
- 中村
- で海外どうするかというと、一番上手い1人だけを育てる。こいつが輝くフォーメーションを組み、こいつが輝くトレーニングをする。すると一番上手い1人がイキイキするんです。
- 角川
- うん。
- 中村
- そしたら、その背中を見てその一歩後ろにいる選手が頑張るんです。あれ、俺もできるかも?!って。
- 灰谷
- あー……!
- 中村
- で、そこが頑張るじゃないですか?そしたら、その一歩後ろの選手が次に頑張るんですよ。上が伸びることで下が引き上がるという仕組みです。逆に、下に目をかけると上が腐るんですよ。っていうサッカーの教育理論があります。
- 伊波
- 一方はね。でももう一方からみると、ボトムアップで全体が良くなくなる可能性もありますよね?1人だけ贔屓にするっていうことは、「なんであいつだけ!」と出てくるわけで、もしかしたら才能があって伸びるかもしれない選手を消すかもしれない。で、それに打ち勝つ根拠がない。なかなか難しいと思うんです、振り切るのは。
- 中村
- 組織のパフォーマンスの総和で言うと、それは結構あるかもしれないです。上をやることで、下の人たちが「あいつばっかり」ってなるとするじゃないですか。それはなぜかと言うと、ここしか今見てないからなんです。
そう言って中村さんは、手でピラミッドの形を作りました。
- 中村
- 一歩下の選手がすぐ上の選手を見て頑張る、その一歩下の選手が近くの選手を見て頑張るってなった時に、その一歩下の選手は上がってくるんですね。で、逆に組織が下のほうの選手を見て育てると、上の選手は頑張らないんですよ。
- 角川
- ああー……!
- 中村
- 全体ピラミッドの中腹にいる人たちは、全体のピラミッドの頂上にはいないけど、切り分けたピラミッドではもしかしたら上にいるかもしれないですよね。だから、そのピラミッドの上の人がイキイキするよう引き上げるんです。自分にちょうどいいピラミッドを見て、そっちの環境でそれぞれやればいいと僕は思ってるんで。
- 伊波
- ああー。見るべき範囲は常に全体ピラミッドというわけじゃないんだよと。でも排除するんですよね、要は切り分けたピラミッドの形に合わないんだったらいらないんだよね?だって、ついてこれなかったらいらないんで。
- 中村
- まあ要はね。これはちょっと言っちゃうと良くないかもしれないですけど、例えばピラミッドの上の人を指導していると、下の人が「もっと寄り添ってくれよ…」ってなるじゃないですか?寄り添った結果、何が起きるかって言うと別に頑張らないんすよ。その人たちが求めてることってそういうことじゃなくて、単純に自分にも注目して欲しかったり、もっと手をかけてほしいだけで。
- 灰谷
- うん。かまってほしいんじゃなく「上手くなりたい」になってないと、根本的に解決できないんですね。
- 中村
- なんで、仕組みとして何かをするぐらいのアクションをしなくても、ちゃんと見ているっていうことが伝われば、その人たちは上手くなろうとします。
- 角川
- へえー!
- 中村
- だから、僕は後輩にもある意味対等なんすよ。別に僕みたいになってほしいとも思わないし、僕の価値観で働いてほしいとも思わないけど、「もっと導いて欲しい!」とか思われてるんだったら、僕はいま以上のことはできないというか。
- 伊波
- 「ついて来たかったらついてくればいい、俺は俺のやりたいことを背中で見せるよ」と。
- 灰谷
- 私も……導かないほうです。あとから入社された角川さんを放ったらかして、自らやってしまってるんで。任しとけばよかったと後で気づくときはあります。気にしてないですけど。笑
- 中村
- ふふふふ。笑
- 角川
- やってる姿を見て、なんかこういう風にやればいいという学びにはなるっていうか。なってます。
- 中村
- 角川さんは、もっと「こうしてくれ」みたいなのはない?
- 角川
- そうですね。受け身でいるのは嫌だと思ってて「背中を見てやりたい」とは思ってたから。そういった意味では、中村さんとその後輩の方を見ていて近しいっていうか……同じだなって思いました。僕の場合は、先輩後輩とか役割というより「他の人のやり方」を見て参考にしています。
- 灰谷
- いやー……育ってますか?育ちました???
- 角川
- 育ちで言うと、はい思います。
- 伊波
- ははは。育ってますよ。笑
- 中村
- はははは。笑
過程が結果
このあと灰谷さんは、思い出は人生の苦しい場面や年老いた終末の時に引き出しから出てきて、人を動かす力になるんじゃないか、という話をしていました。それを聞いていた中村さんが、口を開きます。
- 中村
- いや、この前じいちゃんが死にかけて……だるま食堂のじいちゃんなんですけど。最期とおもって手紙を書いたんですよ。
- 灰谷
- うん。
- 中村
- 僕の中では、(そのときの状況を)良くも悪くもじいちゃんの人生を肯定できる最期だと感じてたんで、延命してほしいと抵抗する心もなく、嫌な気持ちじゃあなかったんですよ。そこも含めて、ちゃんと全部伝える内容で書いたんです。
- 灰谷
- うん。
- 中村
- そしたら、……その手紙を読んで、じいちゃん、生き返って!
- 灰谷
- おお!いいじゃないですか!
- 伊波
- いや凄いじゃないですか!
- 角川
- うん。
- 中村
- はは、生き返らせるつもりじゃなかったって正直思ったんですけど、そのことを思い出しました。
- 伊波
- その手紙で、励みというか、生きる力が伝わったんだと思います!
- 中村
- 何か伝わったんだと思いましたね。本当に生き返っちゃったから、逆に笑ってしまった。「もう最期に言うことなくなったじゃん!」みたいな。笑
- 灰谷
- 思いがけず生き返って笑いに昇華できちゃうとか、ドリフですね。笑
- 中村
- いやそう。……けど、そういうの考えると、書いた手紙の内容が思い出のことだったんで、気持ちや積み重ねた時間は大事だったんだって。
- 灰谷
- やっぱり、人間を生かしてるのは体験だと思いますよ。
- 中村
- そう思いましたね。だからこそ、子供に見せる背中は考えます。
- 灰谷
- 東北の震災でミュージシャンの方が慰問されたときの話なんですけど。歌をきいている人たちを見て気付いたんだそうです。この人たちの涙は、その歌が流行った時代には自分の家があったし、もう会えない愛する人と暮らしていた日常が蘇っているからなんだと。
- 中村
- うんうん。
- 灰谷
- 何気ない良い日常というのは、どうしようもない理不尽や苦しさのなかでも、人を生かす力をもっているんだなと。
- 中村
- あー。ああ。
- 灰谷
- だから、チームの活動とか、何でもない毎日の業務もとびきり楽しい経験にできるんだったら、もしかしたら、どこかでそれが力になるかもしれない。だから、みんなにもいい毎日を送って欲しい気持ちがあります。
- 中村
- いや、そうっすよねえ……僕はプロジェクトをマネージメントしてるんで。毎日の業務、過程をデザインしている、作っているからそう思います。
- 灰谷
- うん。
- 中村
- さっきの話じゃないけど、じいちゃんとの時間を作りたくて行動を起こしたのが良かったと思ってるんですよ。
- 伊波
- まあ、結果じゃないですもんね。結果も良かったのかもしれないですけど。一旦、重要だったのは、それまでの過程だと。
- 灰谷
- その、過程こそが結果なのかもしれませんね。
- 中村
- ああ、いやそうっすね。いや、本当にそう思いましたね。
こうして、インタビューは締めくくられました。
- 中村
- いやー良かったっすよ。なんか、熱かった。
- 灰谷
- うん、熱かった。
- 中村
- なんだろう。チャージできました、僕的に!
- 伊波
- またよろしくお願いします。
- 一同
- ありがとうございました!
- 中村
- あはは、恥ずいなあ。なんかじいちゃんの話とか。笑